長唄 関の小万 2020年4月24日 に akaboshi が投稿 関の小万は亀山かよひ 色を含むや冬ごもり 初春の祝いにて ぬふちょう袖の花笠 夏は涼しき網代笠 秋は高尾にそめたりな紅葉笠 それそれ小万 またおどりだせ小万 てん手拍子がそん揃うた そろたそろた そろそろそろたとさ 月の笑顔に 菅笠を揃えて そりや誰が笠よ そりや誰が笠よ 冬は雪見にかざす袖笠 花の都の御所塗り笠よ なりがようて さてさてどっこい ようござる 花の一重は亀山の 花の一重は亀山の 見ても見あかぬ春景色 現代語訳:関の小万は(男の子のように)亀山の道場に通っているよ。「冬ごもりだって、春の色を含んでいるものよ。」初春のお祝いには、新しい着物に合わせて花笠もあつらえた。夏は涼しげな網代笠、秋は高尾染のような紅葉笠。それそれ、小万。また踊りだせ、小万。手拍子がそろった、そろった、そろったね。月の笑顔に、お揃いの菅笠。それは、誰の笠?それは誰の笠なの?冬は雪見にかざす、袖笠。花の都、京都の御所塗笠。立派でいいわね。花の一重は亀山の、みても見飽きることのない、春の景色。解釈とお話:関の宿屋で、みんながうわさをしています。「小万ちゃんは、女のくせに亀山にある道場なんかに通っているよ。」小万は言い返します。「冬ごもりのように殺風景でも、女の子らしい色を含んでいるものよ。初春のお祝いに、長袖の着物に合わせた花笠でしょ。夏は涼しげな網代笠でしょ、秋は高尾染のような紅葉笠よ。」怒った様子の小万に、宿屋の女将さんが声をかけます。「さあさあ、小万ちゃん、きげんを直して踊ってよ。」小万の上手な踊りに、みんなの手拍子もノリノリでそろっていきます。「そういえば、月の夜、笠のいらない夜にわざわざお揃いの菅笠って、もう一つはいったい誰の分の笠なのさ?」みんなに冷やかされて、真っ赤になる小万。生涯独身だった小万にも、恋バナがあったのかもしれません。冬は雪見にかざす袖笠、春には京都の御所塗笠。御所塗笠はとても素敵でウキウキします。亀山も、一面の春景色です。道場に通う小万は、きっと年頃になっても着飾ることはできなかったのでしょう。でも、いつも流行りの笠でおしゃれを楽しんでいたのでしょうね。 日本舞踊の唄と曲 にもどる